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旧名「pikublogの舞台裏的別館」 ピクシブの企画関連話題がほぼ全て。 BL(ML)要素全開なので、閲覧注意。
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十三重(じゅうそう・かさね)
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非公開
自己紹介:
まったり行く予定です。
各記事に警告しますがBL(同性愛)エログロ表現がまれに飛び出します。苦手な方はご注意願います。
ちなみに、ピクシブ同企画参加者は連絡無しでリンク張っていただいて結構です。見つけたらはり返します。
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絵と文はあまり関係がない。
このバトンより「約束だよ」をSSに。
もうレオとユミしかまともに出ていない。
あと長いです。


「―っだあーっ!」
全く腹の立つほど怪我こさえやがって、と文句を言いながらも、
全く躊躇なく暴れる相手を半ば無理やり押さえこみながらまるで手品のように道具を出して、
暴れるな治療受けろばかって説教たれつつも
消毒用アルコールのしみたピンセットを左手に持ち
「動くなっつってんだろ!!」
…鋭く一喝。最早日常となった、ピクシブサーカス団のとある医師、
レオ・アレティーノの一連の行動。
そこに今日は一つの色が増える。
サーカスでも十分な特徴となるほど大きな黄色のリボンを揺らして小走りに駆けて来る少女の姿。
「レー兄あのね…あれ…お仕事中?」
「…すぐ終わる、まってろ」
レオはぐいぐいと患者に文句を言われながらも消毒を続ける。
「ううん、すぐ行かなきゃいかないの…レー兄、あと、でね」
「ん?…多分、救護室にいるから」
その時振り返ったならばレオは察しただろう。
ユミの表情が、今まさしく処置を行った患者の腕、そしてレオの手を見て曇ったことを。

・・・

そして数時間後。
「レー兄、いる?」
ちらり、とユミは救護室の扉の隙間から中の様子を伺う。
お腹を冷やさないかとすこし心配になる水色の看護婦さんも、
まだまだ未熟者の自分のことを「先輩」と呼ぶあの女医さんも、
一見、柔和そうな笑顔でちょっぴり異国風な出で立ちのあの人も、
白い翼をもって、レオより高い背で男らしい印象を受けるあの人も、
今はおらず、目的の人物ただ一人が難しそうな顔をして、山ほどの紙と格闘していた。
「…どうした、ユミ」
「あのね、お話があるの」
ペンを走らせる左手が止まる。レンズ越しの目を伏せ何かを迷っているかのように、
少しばかり沈黙してから、ため息混じりに
「―入れ。入り口のひっくり返しておけよ」
そう、いった。ユミはいわれたとおり、入り口の札を
『診察中・立ち入り禁止―救護は裏口使え―』
というほうに変える。レオは秘密の話をする時は大抵そうして
沢山の秘密を漏らさない努力をしていることを、ユミは知っている。
レオの無意識ににらみつけるような視線を感じて、一度はまぶたを伏せたが、
決心したかのように、口を開いた。
「レー兄、あのね」
大きな目を覆うまぶたが開き、緑の混じる茶色の瞳に真っ直ぐ、レオの顔を映す。
「もう、レー兄の命を使うなんていわないで」

一瞬の空白に男の呼吸音が大きく感じた。

「ユミ…オレは」
「レー兄、命を削ってほしいなんてだれも…!」
「だから、な…」
「いわないで、わたしは嫌だよ…いや、なの…」
レオのなだめようとする声も振り切ってユミは言う。
真剣な表情だが、その目は潤んでしまっている。
もうすぐにでも涙があふれそうな瞳をぬぐうべきかと
レオが伸ばした手はかすかに震え、ほんの僅か揺れる心を示さんとしていた。
「なあ、ユミ―俺がそこまでの博愛主義者と思うか?」
「―思わないけど、やってることは…そうじゃない」
「…オレの力はオレの命を縮めない。ユミが同じことをすれば、確実に縮むがな。」
諦めのため息とともに、レオはそう告げ、そしてやっと、といった感じでユミの頬に触れる。
ユミは少し戸惑いながらも、彼の多忙で久しく感じていなかった手の感触を確かめる。
「レー…に?」
自分を守るため、自分が伸びる土壌を作るために、必死になっているこの人は。
片や天才と呼ばれるほどの才能を持ちもてはやされて、
片や落ちこぼれと陰で笑うことが慣わしのようにされて、
それでもただ当然のように、ただの幼い対等の妹弟子として扱ってくれたこの男は今、
庇護する対象ではなく、対等の存在としてユミを見ようとしていた。
「傀儡使い…ユミも聞いてるな?」
「…うん」
人形師の昔の姿、そして今や禁忌となった力。昔の力を今の人形師が使えば命を縮める、と。
「オレは、正確に言えば傀儡使いだ。…どういう力かいえるか?」
「…つまり、人の体を操っているということなの」
「そう、オレのやってる治療にそれは含まれる…こっそりな。
ユミはそれを見て、命を縮めてると思ったわけだな」
ゆっくりと頷くユミ。それを確認して
「だから俺はひた隠す。なんでかは分かるな?」
「―レー兄がそんなことするわけが…っん!」
ユミの唇を軽くふさいだ手のひら。
「傀儡師に人の心は操れないし、完全な支配も出来やしない。
でも人は恐れる。自らの意思でここにいない、誰かに決められたことを
忠実にやっているだけだっていう空想に。実際サーカスには何の役にも立たないから、隠す。
―分からないこと、あるか?」
対等であったはずなのに、既にレオの目は対等であろうとはしていなかった。
一方的に、有無を言わさず飲み込め。そう言葉の外に滲ませながら、その冷たい手を離す。
傀儡使いの力は人形師の一族の仲でも今や異端。それをユミも知っていたから静かに頷いた。
それからもう一度、レオの瞳を覗き込んだ。
「…でも、約束してくれる?」
「約束?」
「わたしは大丈夫だよ。此処でわたしは幸せなの。レー兄が、守ってくれたんだよね。
だからね、もう、レー兄の命を使うなんていわないで。レー兄にも…幸せになってほしいの。」
そういいながら、ユミは小指を突き出す。レオはレンズ越しに、驚きの色を浮かべた。
幼く、気弱で心優しいこの少女に、小さなナイフを突きつけられているような、そんな錯覚。
それなのに思わず、笑みがこぼれた。
「…分かった。オレはこの命無駄にはしない。当然のようにな」
一寸乱暴に、レオは小指を絡める。

つないだ指は、儚く強くある自分達の絆のようだと、ユミは思った。



…長っ。
設定はいつかピクシブに何らかの絵としてあげるけれど、この作品は
あくまでサブであってもなくてもいいから文のままにするかも。
…交流できないし。

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